地上波のテレビはおもしろくないので、CSをよく見るのですが、そこで気になるのがコマーシャル。
ダイエットのサプリメントと自動車保険と大手テレビショッピング会社のCMで埋め尽くされている。
日本に帰ってきた頃は、CMがとても新鮮に見えて、楽しかったのですが、何度も何度も同じCMが流れるのは食傷もの。
そんなCMのなかでもダイエットサプリは、見ていてかなりやばそうと感じていました。案の定、「寝ている間に勝手にダイエット!?」とのうたい文句で宣伝していた「夜スリムトマ美ちゃん」が「合理的な根拠がない」として、消費者庁は景品表示法違反(優良誤認)で再発防止などを求める措置命令を出しました。
この手のCMは、利用者らしき人が効果があったと話す画面の隅に必ず「個人の感想です」というテロップを流す。それを表示することで免罪符が得られると思っているようだ・・・と感じていました。
しかし、消費者庁による再発防止措置命令が出されたことで、公共電波を使ったこの手の商法が法律違反の恐れがあることが大衆に示されました。
会社は「真摯(しんし)に受け止め改善に努める」としているようですが、何をどのように改善するのかよく分かりません。皆さんを欺して申し訳ありません。次回はもっと、うまい公告を考えます、ということなのか、そんな指摘はおかしい、効果があることは科学的データに基づいたものであるので、断固、消費者庁に抗議する、ということなのか。たぶん、前者かなぁと思います。
CMに潜むあやしいものとして、臭いと音があります。どちらもテレビでは分かりません。音に関しては、CMの中で意図的に消してしまいます。
たとえば、よく落ちる洗剤のCMで、臭いについてはCMではだれも言いません。でも、石油系の洗剤では強烈な臭いがして、それを知っていたのなら日本人は使わないと思います。売る側は爆発的ヒットさえすればよく、長く売るつもりはないので、短期決戦をしているように思います。
音に関しては、たとえば、掃除機。音がかなりうるさい。しかし、CMでは、その音を完全に消しています。買ってみて初めてうるさいことが分かる。
以前から、このようなテレビショッピングの商品掲示の方法は違法性が高いと感じていました。訪問販売であればクーリングオフの対象となります。テレビショッピングなら消費者が自分の判断でCMを見て、自分の判断で購入を決定することから、規制の対象外になっているのかも。よくは知りませんが。法律の隙間を狙った商法なのでしょう。これと同じ構図をどこかで見た気もしますが。
商店で売っている商品なら、消費者は手にとって商品の善し悪しを判断して買うことができます。しかし、テレビショッピングは違います。音がうるさいにもかかわらず、音を完全に消してCMを流したり、きつい臭いがするのに、そんなことを全く感じさせないようなCMを流すことは、明らかに消費者に誤認を誘発し不利益をもたらしています。
消費者契約法は、第1条で、「この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」としています。
「夜スリムトマ美ちゃん」のCMは流れなくなりましたが、類似のCMは相変わらずです。違法と知って犯罪行為を行うことはより重い罪になります。知らなかった、という言い訳が通用せず、確信犯としてとらえられるからです。情状酌量の余地などあるはずもなく、法律で定められた最高刑が求刑されるでしょう。