今日はいよいよスフィンクスです。
スフィンクスは謎だらけの建造物です。
スフィンクス(Sphinx)はギザの三大ピラミッド以上に不思議な構造物です。
大きさは高さ20m、長さ73m、幅20m。
スフィンクスの謎の最大のものは、誰が造ったのか、ということでしょう。
顔がクフ王に似ている、顎髭がないことから、クフ王が造ったという説があります。
別の説はカフラ王が造ったというもの。これは、カフラ王のピラミッドの正面にスフィンクスが位置していることと、スフィンクスと同じ石材で造られているスフィンクス神殿のくぼみが春分の日にカフラ王のピラミッドの太陽が沈む位置と一直線上にあること、などです。
どちらの説もお粗末。
まず、クフ王とスフィンクスの顔が似ていると言っているのはこの説を唱えている人だけでしょう。スフィンクスはセサールによく似ています。それと同じことです。
さらに、スフィンクスが大ピラミッドに付帯する構造物であるならば、なぜ、大ピラミッドはカフラ王のピラミッドの場所に建造されなかったのでしょうか。このことから、クフ王建造説はあり得ません。
カフラ王建造説については、カフラ王のピラミッドとスフィンクスとの軸線のズレが問題になります。
カフラ王のピラミッドの建造場所は、かなり自由にできます。なぜ、カフラ王のピラミッドとスフィンクスとでは、軸線がずれているのでしょうか。
建設当時、メンカウラ王がピラミッドを作るかどうかは誰も知らないことで、それが完成するという確証もなかったと思います。カフラ王のピラミッドはスフィンクスと軸線を合わせて造ることもできたのです。なぜ、そうしなかったか。それは、スフィンクスがカフラ王よりもずっと以前に造られたものだからです。古代に造られたスフィンクスを自分が造ったような配置にすることは、王としてできなかったのではないでしょうか。また、同時期に、カフラ王のピラミッドとスフィンクスの建造が行われたとは考えられません。
さらに、カフラ王が造ったとしたら、なぜ、クフ王は造らなかったのか。この疑問に答えることのできる人はいないでしょう。
ギザの三大ピラミッドは、オリオンのベルトの配置で造られているという説があります。これも奇妙な説です。そのような配置にするには、最初の設計者が、三つのピラミッド建設予定地の地盤を調べ、ピラミッドを配置しなければなりません。そして、それは、"三大ピラミッドが必ず完成する"という確証がなければできないことです。三つのピラミッドが完成して初めてオリオンのベルトになるので。
通常、このような計画はしません。後世、国がどんな経済状況になるか誰も予測できないことは歴史が物語っているからです。
ところで、大ピラミッドがオリオンのベルトと同じ配置という説について少し考えて見ます。
Google earthとPhotoshopを使って確認してみると、確かに、オリオンのベルトと、ギザの三大ピラミッドの配置は完全に一致します。そうであるならば、オリオンの他の星の位置には何があるのか・・(下の画像の白丸の部分)。
ところで、オリオンの星座って、古代ギリシャ神話から来ているのでは? Wikipediaで調べると以下のようなことが書いてあります。
「現在一般的に用いられる星座名は、国際天文学連合が定めた88星座の分類による。これは西暦100年頃、アレクサンドリア(エジプト)の天文学者クラウディオス・プトレマイオスがオリオン座・ふたご座等、古代ギリシアに由来する星座をまとめた「トレミーの48星座」をベースに、ヨーロッパ諸国の大航海時代に南天に与えられた比較的新しい星座を付け加えることにより成立した。(Wikipedia)」
スフィンクスの建造時期は、侵食の状況から見て、地質学的にはピラミッド建造時期より数千年も遡るという説もあります。
エジプト研究家のジョン・ウエストは、スフィンクスを囲む壁面の岩肌の侵食状態に着目し、地質学者のロバート・ショックの協力を得て、この侵食が水に由来するものであることを明らかにします。
スフィンクスより300m離れた古王国時代の墓の侵食跡は明らかに風による風食であるのに対し、スフィンクスの周囲には水食の跡が見られることから、スフィンクスが造られた年代は、古王国時代より遙か以前の時代であった、とする説です。
サハラが今より雨の多い気候だった時代は、9,000~10,000年前。現在、推定されている4,500年前よりもさらに5,000年も遡ります。
考古学者は、この説を完全に無視しています。彼らの主張は、スフィンクスが9000年前に造られたとするのなら、スフィンクス以外のその時代の証拠を示せ、スフィンクスを造ったという9,000年前の人の痕跡を示せ、というものです。これが、考古学者の立場です。
考古学者の言い分はもっともなのですが、この考え方は、未知の物については、考古学では全く歯が立たないことも意味しています。既存の試料、資料の範囲でしか物事を考えることができないからです。
スフィンクスが9000年前に造られたとすることは可能でしょうか。その場合、なぜ、その時代の人々の生活痕が見つからないのでしょうか。
こんな時は、別の視点から考えると全く新しい発想に結びつきます。
地球の歴史を24時間の時計に例えると、12月31日、午前10時40分に類人猿から分かれた最初の猿人であるトゥーマイ猿人が登場します(700万年前)。
午後7時15分 ガルヒ猿人登場、簡単な石器を使い始めます(250万年前)。
午後8時35分 原人ホモ・エレクトスが登場し、火を使い始めます(180万年前)。
午後8時40分 氷河時代に入ります(175万年前)。以降、氷期と間氷期が繰り返されていきます。
午後11時3分 ネアンデルタール人などの旧人登場(50万年前)
午後11時37分 現生人類(新人=ホモ・サピエンス)が登場します(20万年前)。
ここから先は、秒単位になります。
午後11時58分52秒 農耕、牧畜が始まります(1万年前)
午後11時59分46秒 キリスト降誕
午後11時59分59秒 20世紀が始まり、そして、終わります。
紀元後から現代まで、13.7秒です。
クフ王の時代は、4,500年前なので、現代から見れば30.9秒前。スフィンクスが造られたとされる9,000年前は、61.7秒前。(1年=0.006855652秒)
なぜ、こんなことを書くのかというと、タイムスケールを見るためです。
クフ王の時代からキリスト誕生までの2,500年間(17.1秒)は、地中海等で様々な文明が隆盛します。
そして、注目すべきは、産業革命から現代までは、わずか2秒だということです。驚異的な加速度を持って文明が発展しています。
これを見ると、文明が興り、高度に発達するまでの時間を予測できます。30秒ほどあれば、文明が興り、そして、突如消滅するということも可能な訳です。
人類誕生(1,371秒前)から、クフ王の時代(30.9秒前)までの間に、この30秒がなかったとは言えないと思います。つまり、現在知られていない別の文明の存在です。
スフィンクスは、世界最大の彫像と言われています(高さ20m、長さ73m、幅20m)。しかし、インドのエローラ石窟寺院群の最大の石窟寺院であるカイラーサナータ寺院は、高さ33m、幅47m、奥行き81mでスフィンクスより巨大です(エローラの記事もご覧下さい)。造られたのは8世紀ですが。
この巨大なカイラーサナータ寺院は、岩盤を掘り下げて造られたもので、スフィンクスの作り方と同じです。現地で見ると、「こんな緻密な建造物を本当に人間が造ったのか」と驚きます。高さ33mということは、33mも堀り込んだことになります。
スフィンクスは、造るのが大変なイメージがあるのですが、カイラーサナータ寺院に比べてデザインはシンプルで、造るのもカイラーサナータ寺院ほど難しくはないように感じます。
スフィンクスの写真
スフィンクスとカフラ王のピラミッドを撮影したベストアングルです。よく見ると、スフィンクスとピラミッドの軸線がずれていることに気づきます。
スフィンクスの横顔。まるで、昨日、削り出したかのようです。
スフィンクスのある岩盤は幾重にも積み重なった石灰岩からできていて、層毎に固さが違います。岩盤の上部が最も固く、ちょうど、それはスフィンクスの顔の部分にあたります。
スフィンクスの右後ろから撮影した写真です。
今度は、スフィンクスの左側から撮影したものです。スフィンクスは胴長なので、ドラちゃんを思い出します。
これがスフィンクスのお尻です。スフィンクスの尻尾が見えます。この位置で撮影する観光客はあまりいないので、ネットで探してもこのアングルの写真は見かけないと思います。
スフィンクスの写真はいろいろな角度から撮影しました。その中でも下の写真が気に入っています。