初めて行ったエクアドルの記事をこれまで場所別にいくつか書いていますが、今日は全体的な旅行の想い出を書きたいと思います。
スクレからエクアドルの首都キトに行くのには、まずラパスに行きます。良い接続がないのでラパスに1泊。早朝、ペルーのリマ経由でキトに行きます。
リマのトランジットは2時間。ラパスからキトまで、ペルーのトランジットを入れても8時間くらいだったと思います。リマの空港が大きくきれいなのに驚くネコ師。
キトの空港に着いてまず驚いたのが、入国審査が非常にスムーズでスピーディなこと。これはボリビアとは全く違う! と感じました。
ところが出国の時は違います。この出国の手続きはちょっと変でした。
空港に入るのにセキュリティチェックがあり、チェックを終えてから飛行機会社のカウンターに行きます。ネコ師は、チェックインの手続きを終え、ちょっとタバコを吸おうと外に出ようとしたら、警備のおっさんに、外に出ることはできない! と怒られました。
納得のいかないネコ師は、「なぜ?、なぜ?」攻撃を仕掛けますが、相手は権力を盾に、「外に出るものは麻薬取引者と見なす」などと脅しをかけてきました。
かなりむかついたので、どうやってとっちめてやろうか考えていると、女性客が、このおっさんに一言二言話した後、さっさと外に出て行きました。
そこでネコ師は、・・・。
ネコ師:今の女性は外に出て行ったけど、なんで許可したんだ!?
係官のおっさん:あの女性は、カードでお金を下ろす必要があるから。
ネコ師:それは変だよ。麻薬の取引かも知れない。なんで一緒に行って監視しないんだ?
係官のおっさん:「・・・・」
うるさいことを言うやつだ、という態度で、質問には答えず、奥の方に逃げていきました。
ネコ師が頭に来たのは、このおっさんがとても威圧的な態度をとったからです。このまま引き下がったのでは腹の虫が治まらない! それに、飛行機会社のカウンターまではどの空港でも自由に人の出入りができるのに、キトの空港は、建物の中に入れるのは切符を持った旅行者だけで、それ以外の人は中に入れない。一度入ったら外に出ることはできない。こんな空港は聞いたことがありません。世界中、あちこち行きましたが、社会主義の国でもこんなことはしていません。
麻薬にうるさいアメリカでさえこんな方法は採っていないのに、麻薬対策だからという理由で高圧的な態度に出る係官に腹が立ったというわけです。
エクアドルは、米ドルを国の貨幣として使っていて、独自の貨幣を持つのを放棄しています。このため、物価が割高なように感じました。
このドルで驚いたのが、1ドルコイン。えっ、1ドルコインなんてあるの? 初めて見ました。しかも、アメリカ政府発行の正真正銘の1ドルコインです。
私は長年、中南米を行き来していますが、1ドルコインなんて見たことも聞いたこともありません。最近発行されたのかなぁ、と思って発行年を見ると、20年くらい前になっています。
私が知らないだけなのか、昔から一部の国だけで通用しているのか?
いづれにしても、他の国では使えないと思い、ホテルで紙幣に換金してもらいました。写真を撮れば良かったのですが、忘れていました。
エクアドルは、なんでも高いかというとそうでもない。庶民的なレストランはボリビアとあまり変わらない値段です。キューバのように外国人用の値段があるわけでもありません。これはとても不思議でした。
昨年、メキシコのカンクーンに旅行した時には、物価の高さに驚きました。カンクーンでは、観光客が行く店だけではなく、全てが日本の物価以上の高値になっています。観光客がよく行く店はそれに輪をかけた値段です。その点エクアドルでは安い店がたくさんあるので、生活はそれほど困らないように感じました。
キトの旧市街地を訪れた時、観光客がたくさんいるのにびっくり。同じ世界遺産の古都でもスクレ市にはあんなに観光客は来ません。エクアドルは、たぶん日本では人気がないのか、日本人観光客は一人も見かけませんでした。しかし、キトは一見の価値があります。世界遺産スクレの観光案内はやめにして、キトの観光案内に衣替えしようかと思ったくらいです。
スクレ市は、ホセ・アントニオ・デ・スクレの名前を冠しているものの、彼にまつわるものは何もないのが現状です。もちろん、銅像はたくさんありますが。その点、キトにはスクレの住んだ家が残されていて、ネコ師はとても感動しました(過去記事をご覧下さい)。
エクアドルには地方都市がたくさんあり、そのサイズが大きいのにも驚きました。まるでドイツのようです。日本のように大都市集中型ではなく、歴史のある地方都市にうまく人口が分散しているという感じで、とても住みやすそうに思いました。
エクアドルにはまた行きたいと思います。行けるかどうかは分かりませんが。今回行っていない観光地がたくさんあり、面白そうです。ボリビアと違い、道路が整備されているので、レンタカーでいろいろ回れたら楽しいだろうなぁ、と思いました。
ただ、標高2,800mのスクレに住むネコ師でさえ高山病になったくらいなので、普通の人は4,000mを超える場所に行くのには注意が必要だと思います。一度高山病の症状が出ると低地に移動しても直ぐには回復しません。
エクアドルの経済が発達していることと、隣国のコロンビアも経済状態がよいことを今回初めて知りました。遅れているのはやはりボリビアだけということでしょうか。
でも、スクレののんびりしているところが気に入っています。サン・フランシスコ・ハビエル大学だけで2万人の学生がいるという学生の街スクレは、活気に満ちています。標高が、もう500m低ければもっと快適なのですが。沸点温度の関係で。キトもスクレと同じ程度の標高に位置しています。征服者スペイン人達もこの程度の標高なら我慢できる、という限界標高だったのかもしれません。
エクアドルの高地アンデス地帯「シエラ」は、万年雪を頂く高山に囲まれているため、水の心配がありません。このため、地方都市が発達したのだと思います。それに比べスクレの周辺には高山がないため、スクレはいつも水不足に悩まされています。夜しか水道の水が出ない、という家が結構あります。
チャルカス・アウディエンシアのあったスクレがなぜ小さな小都市のままなのかは、水の存在が大きいと思います。世界遺産マチュピチュの記事でも書きましたように、マチュピチュの人口は水の量で規定されると思います。農地面積から人口を推計する手法は間違っています。食糧は外から運び込めますが、毎日使う大量の生活用水を運び込むのは不可能です。
エクアドルの農村部を訪れ、土が豊かなのにも驚きました。スクレ近郊の石ころだらけの農地とは全く違います。アンデス高地は一般に土漠といわれる砂漠が広がっているのですが、エクアドルでは豊かな農地が広がっています。ネコ師のイメージするアンデスとは趣がかなり違います。
コンドルが舞う荒涼としたフォルクローレの世界は、ボリビアとペルーが主流なのが理解できました。