今日は、エクアドルの小さな村、サリーナス(Salinas)をご紹介します。
場所は、リオバンバから北東に車で3時間位の距離にあります。キトからだと4時間くらいかかります。
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リオバンバからチンボラソ山を通り、やっと目指すサリーナス村が見えてきました。
ウシ柄の壁がレストランです。この村には観光ツアーがあり、このレストランでの食事代もツアー料金に入っています。
村の広場に焼きトウモロコシの屋台があったので、食べてみました。それほど美味しいものではないです。醤油を付けて焼いたらうまいのに。
その横で「カニ」を売っていました。最初にこのカニを見た時はおもちゃかと思ったのですが、動いています! エクアドルで3回、カニ料理を食べましたが、全てこのカニです。海のカニにしては味が違うなぁ、と思っていたら山のカニでした。肉があまりなく、蟹味噌はとても食べれたものではありませんが、それでもカニはやはり美味しいです。
この村は、エクアドルの中でも「村おこし」に成功した村として有名で、村のあちこちで様々な小工業が営まれており、これらと観光が一体となっているという珍しい村です。
村のガイドに最初に連れて行ってもらったのが薬草から作った様々な加工製品の売店です。このおばさんがいろいろ説明してくれました。その効能を聞いていると思わず買いたくなる! というわけでたくさん買ってしまいました。
元々この村で小工業が始まったのは第二次大戦後のこと。
この村には、敗戦国イタリアからたくさんの移民がやってきました。しかし、これといった産業もない小さな村で、イタリア人の移民達はひどく貧しい生活を強いられることになります。
その貧窮を見るに見かねた一人の神父が立ち上がります。彼もイタリア人でした。たくさんの移民がこの村にやってきた理由のひとつには、このイタリア人神父の存在が大きかったようです。
神父の名前はドン・ボスコ(Don Bosco)。ドンは敬称です。下の写真がボスコ神父です。とても優しそうに見えます。
ボスコ神父は、チーズの加工、薬草加工、クッキー生産などたくさんの小工業を興していきました。最初は、イタリア人入植者たちを中心に始まった活動は、入植者達が現地の人と結婚し、地元に定着するようになるにつれて村全体に広がりました。
チーズ販売所の看板。隣にチーズ加工工場があります。
チーズ販売所。ここでモッツァレーラチーズを買って食べました。美味しいです。ビールが欲しい!
この村ではチョコレートも生産しています。カカオが採れないアンデスでなぜチョコレートを作るのか不思議です。そういえば、同じような条件下にあるスクレでも「パラ・ティ」という有名なチョコレートがあり、スクレの名産品になっています。
このチョコレート工場。
工場にある売店です。この売り子の女性は写真よりずっと可愛いので、買い物客の男性たちにモテモテでした。
サリーナス(Salinas)と聞いて思い浮かべるのは「塩(Sal)」。そうなんです。ここでは塩も作っています。
ずっと向こうに見えるのが塩の採取場です。そこまで行ってみましょう。
こんな谷を渡って行きます。とても気持ちの良い所です。
この水たまりのようなところが、塩水の噴き出している源泉です。この塩水を天日で濃度を高め、村に運んで、ボイラーの熱で煮て水分を飛ばして塩にするようです。
この村には紡績工場もあり、近くの村で飼っているアルパカやリャマの毛から毛糸を作っています。
アルパカの毛70%、アクリルとの混毛の毛糸です。
下の写真は、2本の色違いの毛糸を1本にしたもの。製糸の方法を変えて商品価値を高めているのだそうです。
この毛糸を買ってスクレに戻り、誰かに編んでもらおうかと思ったのですが、やめました。どのくらい買ったらよいか分からないし、編んでくれる人も知らないし。
紡績工場とは別に、手編みのグループも直営売店を持っていて、編み物の実演をしていました。アルパカのセーターをまた買ってしまいました。
値段は、編むのにかかる時間で決まるのだそうです。当たり前のように思いますが、改めて聞くと納得。太い毛糸だと早く編むことができるので安いのだそうです。