2010年08月29日

高山病って慣れるの?


 今日は、ボリビアと聞いたら気になる「高山病」について書きたいと思います。
 ボリビア、ペルー、チリに跨がるアンデス地域は、標高3,000m~4,000mの高地に位置しています。そこで旅行者にとって心配なのが『高山病』です。

 飛行機の中は加圧しているので安心、と思いきや、ボリビアの首都ラパスに着陸する時には減圧していて、機内はほぼラパスの大気圧で着陸します。着陸してから減圧しているのではありません。減圧しないと、着陸して飛行機のドアを開いた瞬間にドアが吹き飛ぶことになります。

 高地に行っても何ともない人もいれば、重い高山病に罹り、生死を彷徨う人もいます。高山病は非常に危険な病気で、重い症状になったらすぐに低地に移動しないと死亡してしまいます。

 私が最初にラパスに行ったのは7年前でした。それより3ヶ月前に標高2,850mのスクレに到着した時には全く体調の変化はなく、その後しばらくしてから標高4,000mのラパスに移動しても全く平気でした。このため、スクレの標高に慣れてからラパスに行ったために高山病にならなかったのだと思いました。そういえば、高地トレーニングで標高に慣れるというのを聞いたことがあります。

 ところが、その後、ラパスに行くたびに高山病になるようになりました。風邪をひいた時のように目の周りが重く、呼吸も苦しくなります。スクレに1年滞在していても、ラパスの標高には全然適応できなかったということです。ラパスに行くたびに高山病の症状がかえって重くなるように思います。

 実際、スクレの人たちも、標高4,000mのポトシに行くと高山病になると言っています。最初は信じなかったのですが、自分も同じ症状になったので今は信じています。

 日本のどこかの大学の研究者がボリビア人が高山病にならない理由を調べたレポートを読んだことがあります。その結果は、「ボリビア人も慢性的な高山病の症状を示している」というものでした。やはり、人間は、低酸素の高地にはなかなか順応できないようです。

 人間の脳細胞は生まれた時から増えることはなく、どんどん崩壊していく一方なのだそうです。酸素が薄いとその崩壊速度が速まるそうです。

 私が滞在しているスクレのホテルには、酸素ボンベは置いていません。ホテルにはたくさんの外国人観光客が来ますが、酸素ボンベを必要とするほどひどい高山病の症状を示す人はいないということです。

 私の同僚に、標高に弱く、3,000mを超すと体調が悪化する人がいました。スクレの2,850mは比較的平気で、サッカーもできるのですが、3,000mを超えると急に体調が悪くなるようでした。まさに人間高度計のようです。わずかな標高の違いが高山病に大きく影響しているようです。

 よく酸素濃度という言葉を耳にします。大気中の酸素濃度は21%です。ところが、高地の場合は、この「濃度」という概念は通用しません。濃度という概念は割合を示しているだけで、量は示していません。酸素の割合が少なくなれば、他のガスに置き換わっているということですが、高地の場合は、大気圧が低いために、酸素の絶対量が低くなるのが問題です。高地での大気の酸素濃度が21%があったとしても、量が少ないので呼吸が苦しくなります。

 1枚のピザを3人で分ける場合を考えてみて下さい。もともとの1枚のピザの大きさが半分になった時、「一人あたりの割合は1/3だから同じだよ」、と言われても、食べる量は半分になります。酸素の絶対量が、標高3,000mおよび4,000mを境に人間に大きな影響を及ぼしているのではないかと思います。

 グアムでスキューバダイビングの免許を取得したのですが、私の潜水中の空気の消費量は一緒に潜った息子たちの倍でした。ちなみにダイビングで使うボンベの中身は圧搾空気で、酸素ではありません。海育ちのネコ師は素潜りの潜水には慣れているのに、スキューバダイビングは別ものでした。呼吸できないかも知れないという不安感は、自分の意志で息を止めて潜る素潜りとは全く異質のものです。これが空気の消費量を増やした原因です。

 高地の低酸素状態はこれに似ているなぁと感じています。

 太古の時代、地球上の酸素濃度は今よりも高かったと言われています。植物が大地を覆い尽くし、大量の酸素を生産していたためかも知れません。そんな時代に生きた動物たちは巨大化していったのではないかと思います。

 酸素を多く取り入れれば良いというわけではありません。過呼吸症になります。
 普段は何気なく行っている呼吸ですが、なかなか奥が深いです。


posted by ネコ師 at 17:17| Comment(0) | ネコ師の独り言 | 更新情報をチェックする
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