(前回の記事:『世界遺産スクレ:インカ時代の『幻の壁画』の最新情報』もあわせてお読みください。)
大量の写真を用いてご紹介します。
ちなみに、インカ・マチャイのマチャイとは、ケチュア語で「酔う(machay)」という意味ですが、ここでは「休息」を示すようです。
場所
スクレ市トゥンペカ集落パトトロリョ地区
スクレ市内から西に30Km、車で1時間半の距離にあります。
登る
まず、岩絵のある所まで登ります。
近くに見えても、山は遠いです。50分も登ることになりました。標高差は約200m。登り口の標高が3,115m、岩絵のある場所が3,330mでした。ただし、スクレ市役所の設置した案内板では、岩絵のある場所は3,510mになっています。私の使っている時計「CASIO PROTREK」は、スクレの標高を正しく表示していますので、3,330mが正しいと内心は思っています(笑)。
写真中央の山の中腹まで登ります・
中央左側に洞窟のようなものが見えます。まず、そこまで行きます。中央の屋根のように見えるのが、目的地です。まだまだ遠いです!
地元の人たちが道を直したそうで、所々、石段があります。登るのはなかなか骨が折れます。
登ってきた道を振り返るとこんな風景が広がっています。
最初の洞窟の岩絵
やっと洞窟までたどり着きました。呼吸が苦しいです。
この洞窟にも岩絵があります。
ただし、この洞窟の岩絵は、下の写真の1個だけ。他には何もありません。
岩絵のある岩屋
洞窟を過ぎて5分ほどで目指す岩屋が眼前に見えてきます。
まさに岩屋という言葉がぴったりの所です。まるで大神殿の屋根のような巨岩が張り出しています。荘厳な雰囲気の漂う場所です。
岩の間にポッカリ空いたこの空間は、長さ47m、幅19m、高さ5.7mの広さがあります。
これがインカの岩絵です。でも、インカよりももっと古い時代のものではないでしょうか。調べたところ、2,500年前のもののようです。
岩絵は、神殿の屋根のように張り出した巨岩の天井部分や壁の部分に描かれています。白、茶色、青、黒の顔料が使われています。特に白が色鮮やかです。
モチーフは、人間と動物で、他に四角いマスが描かれています。動物はビスカチャというウサギのような生き物も描かれているようです。
これは線刻画(ペトログリフ)と呼ばれるもので、顔料で描かれたものと、岩を削って描かれたものの二つのタイプがあります。
この岩屋の広さは、30m×10mくらいあり、洞窟ではなく、一方が開放されているので、相当広く感じます。
後でご紹介しますが、周囲は奇岩に囲まれ、まさに荘厳とした場所なので、何らかの宗教的な儀式が執り行われ、神聖な場所だったのではないかと感じました。
スクレ市役所が作った看板です。岩に刻まれています。
この掲示板は間違っています。パタトロリョ集落と書いてありますが、これは間違いです。行政区分上はトゥンペカ集落に属します。この中のパタトロリョ地区というのが正しい表現です。
巨岩が張り出している様子は、下の写真から分かると思います。
青い顔料が使われています。
入り口の所にある看板。
この岩屋の屋根の部分に登ってみます。
これが屋根の部分です。この上に登ってみます。
するとに平らになっていました。ここでも何か儀式が執り行われたのではないか思います。
ここから見下ろすと、こんな風景が広がっています。
そして、背後には、屏風か壁のような奇岩が立ちふさがっています。
帰り道、同行した人が道ばたの岩に落書きをしました。すぐ近くの茶色い岩で書きましたが、かなり本物っぽく見えます。実際の岩絵も身近な材料を使って描いたのでしょうが、「青」はなかなか無いように思います。
下りは25分でした。こんなに登ったのかと思いながら下りてきました。やはり遠いです。だから、「幻」なのですが。日本人で、ここまで行った人はほとんどいないのではないでしょうか。世界中、どこにでも日本人観光客がいますが、皆、駆け足の旅行のため、こんなところまで足を伸ばすのは欧米の旅行者たちです。観光のスタイルが根本的に違うように思います。
昨日の記事にチェ・ゲバラのgifアニメを追加しました。なかなかの男前です。