2009年07月22日

スクレのモナステリオ・デ・ラ・レコレタ修道院と展望台


 今日は、前回の記事でもご紹介した展望台です。
 ここは、Mirador de la recoletaと言われ、古都スクレ観光の名所の一つです。
 Miradorとは展望台のことです。Recoletaとはどういう意味かネットで調べたのですが、よく分かりません。辞書には、(瞑想する)修道士とあります。現地の人に聞いたら、Recoletaとは高い場所という意味だと言っていました。そうかなぁ?

 この展望台からは、スクレ市内が一望できます。実際には、前回の記事でご紹介したレストランからの展望の方がきれいに見えます。

 この展望台は、レコレタ修道院 (Monasterio de la Recoleta) の一部らしく、 広場をはさんで反対側にこの修道院があります。
 今度、暇を見つけて訪ねてみたいと思っています。
 ここの一般的な紹介は、ネットのどのページを見てもこんなものです。

下の写真は、展望台に行く途中で見つけた市内地図です。タイルでできています。
タイル製の道案内図


アップ画像です。
タイル製の道案内図アップ画像


途中の街路。ネコ師が活動する時間帯には人があまりいません。でも、実際はたくさん歩いています。
街路


展望台への横道です。観光を意識して、かなり整備されています。
脇道


道ばたの水道です。でも、水は出ません。デザインが気に入りました。
道端の水道


修道院です。展望台側から見て、広場の反対側にあります。
Mirador de la recoleta


展望台に隣接する広場です。
Mirador de la recoleta


スクレ市内の展望
Mirador de la recoleta 2


展望台の・・・廊下です。これを作った人の意図が分かりません。もしかしたら、建設当時はもっと建物群があり、その一部だったのかもしれませんが、今は、この廊下のような部分だけが残っています。
Mirador de la recoleta 3


同上
Mirador de la recoleta 4


ところで、下の写真、どうやって撮影しているか分かりますか。強烈なボリビアの陽光の中にもかかわらず、廊下の天井が明るくくっきり写っています。外の景色も真っ白にならずに写っています。きっと、神のご加護です。実際は、カメラの性能が向上したためです。
Mirador de la recoleta 5


同上
Mirador de la recoleta 6


展望台の下は、カフェテリアになっています。
カフェテリア


ここがカフェテリアの入り口。中はすごく狭いです。
カフェテリア内部


中庭では、欧米人がたくさんくつろいでいました。フランス人が多いみたいです。タラブコの民族衣装をまとった楽団がちょうど来て、演奏を始めたところです。アンデス民謡は心に染みます。
 今、自分がアンデスにいるんだぁ、と感じる瞬間です。
Mirador de la recoleta14.jpg


展望台入り口のお土産屋さん。変わったものは売っておらず、だいたいの人は素通りです。
Mirador de la recoleta15.jpg


 この記事では、少し視点を変えてご紹介します。
 この修道院は、1601年に設立されたフランシスコ修道会の修道院です。修道院には、四角い中庭は数多くあり、バラやゼラニウム等の花が植えられているそうです(次回、内部をご紹介します)。
 スクレにはこの他に、サンタ・テレサ (Convento de Santa Teresa) 、サンタ・クララ (Convento de Santa Clara) 等の修道院があり、特にサンタ・クララ修道院はメルチョル・ペレス・デ・オルギン (Pintor Melchor Pérez de Holguín) という有名な画家の絵が展示されていることで知られています。
 フランシスコ修道会というと「何、それ?、サン・フランシスコなら知っているけど」というのが一般の日本人の感覚ではないでしょうか。ちなみにサン・フランシスコとは聖フランシスコのことです。

 聖フランシスコは、イタリア人で、イタリア読みではフランチェスコ。1206年に神の啓示を受け、その後、フランシスコ修道会を設立し布教活動をしました。この修道会は日本とも関係が深く、支倉常長の慶長遣欧使節団の派遣を実現したのもフランシスコ修道会です。伊達政宗の支援を受け、東北地方の布教に努めました。
 東北地方に隠れキリスタンの遺跡があるのはあまり知られていませんが、フランシスコ修道会の影響が大きかった証だと思います。

 日本のキリスト教普及を考えるなら、もう一つ重要な会派がいます。日本人なら誰でも知っているフランシスコ・ザビエルのイエズス会です。彼はカトリック教会の宣教師であるとともに、イエズス会の創始者の一人でした。このように日本のカトリック教の初期の布教には二つの会派が関係していたということです。学校の歴史では習いませんが。
 ザビエルもフランシスコという名なのでややっこしいですが。

イエズス会とフランシスコ会の違い

項   目イエズス会フランシスコ会
参加者学生商人
海外布教の目的神のことを伝えるボランティア
布教姿勢自立を重視し、厳しい保護と優しさ
何を人々に与えるか学問、教育を与える物品を与える

  Source: http://www.uraken.net/rekishi/rekishi1a.html

 レコレタ修道院が設立される4年前の1597年、キリスト教の信者20名、宣教師6名が長崎で処刑されるという事件が日本で起きました。その多くはフランシスコ修道会の信者や宣教師でした。1587年に秀吉の発したバテレン追放令の中、活動を自粛していたイエズス会に対し、首都部周辺で目立った活動をしていたフランシスコ修道会が逮捕・拘束の標的になったようです。
 下にミニ年表を整理しました。後1年、処刑が延びれば、26名の命はつながっていたかもしれない、という「もし、・・・であったらなら?」が通用しない歴史の厳しい現実を実感します。

ミニ年表

1587年:バテレン追放令
1592年 文禄の役:明の征服と朝鮮の服属を目指して16万の軍勢を朝鮮に出兵。戦況が膠着状態となり、翌年、明との間に講和交渉。
1593年  秀次事件:淀殿が秀頼を出産。秀吉後継者と目されていた秀次との対立が深刻化。1595年、秀次切腹。
1596年 慶長の役:明との間の講和交渉が決裂し、14万人の軍を朝鮮へ再度出兵。
1597年 長崎で、キリスト教信者、宣教師26名処刑(日本二十六聖人)。
1598年 8月18日、秀吉死去。死因不明。

 こうしてみると、この時代、わずか10年の間にいろいろな歴史的事件があったことが分かります。時間が濃縮していた時代だったのではないでしょうか。

 ちなみに、スクレにある南米最古の大学の一つとして数えられるサン・フランシスコ・ハビエル大学は、このフランシスコ・ザビエルの名を冠しています。

(私はキリスト教徒ではないのでこれまでの記述に間違いがあったらごめんなさい)

 日本の歴史と世界の歴史はパラレルに連動しています。
 世界遺産などの史跡を見る場合、歴史を知っていると役立つことは当然ですが、その時代背景や日本との関連を知ることで、より理解が深まるのではないでしょうか。

 今日の記事は、次回の修道院訪問の前振りです。いつになるか分かりませんが。そのうちに。


posted by ネコ師 at 17:41| Comment(3) | スクレの博物館 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「Recoletaとは高い場所という意味だと言っていました。そうかなぁ?」
と疑問を持つネコ師さん、いいっす(笑)

タイルの地図、いいですね、おしゃれだわ♪

ここの展望台に居る人の中には、観光客も多いんですかね?
いつもキレイな空だな~。

ネコ師さんは外国の何処に出しても、恥ずかしくない日本人だと痛感しましたよ^^
歴史も好きなんですか?
Posted by カオルンボ at 2009年07月22日 18:09
カオルンボさん、いつもコメントありがとうございます。思いがけずお褒めの言葉を頂き恐縮しております。
私は、かねがね、旅行ガイドブックなどに書かれている内容に疑問をもっていました。
皆、どこかの記事の断片的な知識の寄せ集めで、せっかくの旅行の醍醐味が、ガイドブックの出来、不出来に左右されてしまうとと感じていました。関心のある人には、もっと深い情報と、旅行ガイドブックとは違った視点の情報が提供できたら良いなぁ、と思っていました。
今回、スクレに長期滞在することになったことから、この夢を実現したいと思っています。
この記事を書くに当たって、スペイン語版のwebはほとんど見ましたが、有効な情報はありません。今度、修道院に行って、直接聞いてみたいと思っています。
Posted by ネコ師 at 2009年07月23日 14:30
すごい!^^徹底してますね。
でも、だからこそ髄まで知ることができますもんね!
楽しみにしてます^^
Posted by カオルンボ at 2009年07月24日 16:25
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