昨年から異常気象が続いているように感じます。
気象というものは、実は不安定で、何が「異常」なのかは、意見が分かれるところです。
例えば、年間降水量は、年により大きく異なります。その30年間を平均して、「平年よりも・・・」ということ自体がナンセンスと感じます。
下のグラフは、日本の年降水量偏差(mm)を表しています(1898-2013)。
統計期間116年の間に日本の年降水量偏差が拡大していること、及び、偏差がグラフ下方に拡大している傾向を容易に読み取ることができます。
注)算出方法
1. 上記各地点ごとに,年降水量の偏差(年降水量を基準期間の平均値を差し引いたもの)を求めます。ここで,基準期間とは1981~2010年です。
2. 51地点分平均した値を日本の年降水量偏差とします
出所:気象庁データより作成
偏差の拡大とグラフ下方に偏差が拡大しているという統計データは、とても深刻な情報を私たちに知らせています。
偏差の拡大は、豪雨と干ばつの程度が大きくなることを示しています。また、グラフ下方のみの偏差拡大は、将来、とてつもない干ばつが日本を襲うことを暗示しています。このような干ばつがもし発生すれば、稲作はほぼ壊滅状態。日本は、一気に食糧難に陥ります。そして、その食糧危機は数年続きます。それは種籾が確保できないからです。
これが、気象庁の統計データを用いて誰でもが読み解ける情報です。
日本は雨が多いと感じている人が多いと思います。しかし、日本の地形は急峻なため、降った雨は直ぐに海に流れ出てしまうという日本独特の地形的な特徴があります。外国の河川と比較すれば、日本の河川は「滝」のようだと表現されるほど短く、急峻です(関心のある方は「河状係数」とワードで調べてみて下さい)。
この降雨を貯留し利用する施設がダムです。日本では、太古から干ばつに対処するため、ため池などの雨水貯留施設を造ってきました。ところが驚いたことに、日本では、新規のダムは建設できなくなりました。ダムが環境破壊の代名詞のように扱われマスコミから激しい攻撃を受けた結果です。環境破壊や住民移転問題などが発生するのが理由のようです。
環境問題はもちろん重要でしょうが、既存のダムには異常気象による大渇水を乗り切るだけの能力はありません。水を使う生活、産業は大打撃を受けます。生活の水利用制限は"死なない程度に"なんとか我慢できるかも知れませんが、産業界への打撃の回復は難しいでしょう。水を使う多くの工場が閉鎖に追い込まれ、従業員はレイアウトとなるでしょう。日本の経済はガタガタになります。それは生態系にも影響を及ぼします。大干ばつの影響を受け、多くの生物が死滅するでしょう。その中で、レッドデータブックに登録されている生物が最も大きな被害を受けることになります。
「環境問題」とは、人間活動の中で発生する問題を指します。たとえば、北極の氷山が消えること自体は環境問題ではなく自然現象ですが、その原因が人間活動に起因する温暖化であれば環境問題になります。環境問題は人間活動により生じるものであるが故に、環境問題はなくならないし、この問題の解決には、どのように折り合いを付けるかを模索することから始まるのでしょう。環境問題はすべて悪いという近視眼的な"高学歴の方で構成される"マスコミの論調は無責任で、国民をミスリードすることになります。
ところで、飲み会の帰り、代行の運転手さんから面白い話を聴きました。
「今年は、鳥たちがたむろしている場所がいつもより西に移動している。」
例年だと「いつもこの場所にたむろしている鳥たちが、昨年来、その場所を変え、西に移動している」というものです。
鳥は、地磁気を頼りに位置を確認し飛行しているので、地磁気に変動があったのではないかと思いました。
地磁気に影響を与えているのは太陽の活動が最も大きいと思いますが、温暖化による地球の極部にあった氷の融解もその一因かも知れません。地軸が移動するポールシフトが数百メートルというわずかなレンジで進行しているのかも。
日本にいると「四季」があるのが当たり前で、「えっ、四季のない国があるの?」みたいに思っている人も多いのではないでしょうか。実際には、明確な「四季」のある日本のような国の方が珍しいのではないでしょうか。
例えば、南米パラグアイでは、午前は気温30度の真夏の気温なのに、午後には気温10度まで下がったりして、いきなり冬になります。北ヨーロッパの気候も似ているのではないでしょうか。「夏、そして、短い秋の後、冬が来る」のではなく、数日間の短すぎる秋の後に冬が来る。
鳥の移動というわずかな現象の変化を捕らえることができるのは、四季を持つ日本ならではのことだと思います。この特徴を活かせれば、世界的見て優れた対応をする日本という評価を得られるのではないでしょうか。
有事に際して、生きるため等必要不可欠な水を貯めておくという有史以来の基本を忘れてはなりません。