2010年11月25日

「光り物」には目がくらむ:スクレの教会と都市デザイン


 以前書きましたように、スクレにはたくさんの教会があります。
 なぜ、ボリビアの小さな都市に過ぎないスクレにこんなにたくさんの教会があるのか不思議です。

 一説には、200の教会があるそうです。おいおい、そのくらいちゃんと数えろよ、と言いたいのですが、スクレ市内には少なくとも20以上の教会、礼拝堂、修道院があるのは間違いありません。何しろ、100~200mのブロックごとに1カ所は教会があるので。まさに、街角には必ず教会があるという感じです。

 歴史的に、教会は権威と富の象徴だったようです。富の半分以上は教会に集められました。それは、土地、宝石、貴金属、さまざまな形を取りますが、そのような富が教会に集められ、その威信を維持するために、さまざまな豪華な建造物が建てられていったようです。

 これらの建造物は、一点豪華主義ではなく、数も問題だったのだと思います。

世界遺産スクレを象徴するカテドラルの祭壇

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豪奢なラ・メルセ寺院の祭壇

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サント・ドミンゴ教会の祭壇

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夕日に佇むセサール

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 大司教座のあるカテドラルが1カ所あれば事足りる、と考えるのは、合理主義、無信教の表れかも知れません。

 17世紀のスクレでは、富は教会に集中していました。以前グアダルーペの聖母の記事で書いたように、その富は寄進によるものもありましたが、当時の教会は金融機関を兼ねていたということも、富の集中を加速しました。ポトシ銀山から得られる莫大な富は、ポトシやスクレの教会の新築、改築に使われました。

 さて、教会に使われている膨大な量の分厚い金箔(すでに「箔」ではない)。どこから来たのでしょうか? 

 これについては現在の所、不明です。ただ、ポトシ銀山からの副産物だったのではないかと思います。銀山では、量は少ないものの金や他の貴金属も同時に産出します。

 銀はさびで黒く変色するのに対して、金は変色せず光り輝いています。

 ヨーロッパの古い小説を読むと、「銀製の食器を磨く」という文章によくお目にかかります。銀は磨く必要があるようですね。なにしろ、黒く変色するので。(銀、銀純度、sterling silver 925, 950)についてはカンクーンの記事で書いたと思いますのでそちらをご覧ください)

 ところが、「金の食器を磨く」という文章は見かけません。教会の金の聖具も磨いたりなどしません。拭くだけです。

 金は、全ての文明で高く評価されている金属です。光り輝く金属は他にもありますが、「さびない」ということが他の金属と違う点だと思います。

 今も昔も、このさびない金属を巡って多くのエゴがぶつかり合いました。

 教会の装飾に使われているのは金だけではありません。たくさんの宝石が使われています。どうしてでしょうか。それが、ルビーでもサファイヤでもかまわないのですが、当時入手できる「光り物」だったからではないでしょうか。そのほとんどは寄進によるものだと思います。

 以前、たしかコスタリカの記事で書いたと思いますが、教会の建築デザインは光を重視しています。なぜ、教会の入り口は東に作られるのか。

 「光り物」は人々の心を高揚します。そして惑わします。その光に惑わされ、虜になっている人もたくさんいると思います(うちの息子もその一人です)。

 「色」とは、光の反射の程度を表していて、全く反射しなければ「黒」。さまざまな反射を考慮して教会の設計がなされました。

 我々日本人にとって、彫像の聖人がその場所に置かれている意味を知り、理解することは困難です。しかし、教会内部の光のバランス、光による演出は、我々でも楽しめるのではないかと思います。その役者が光り物と言われる宝石や貴金属です。

 古都スクレの建設当時、他の建築制約が一切ない中で、なぜ、東西南北に45度傾けて都市建設が行われたのかが疑問です。多くのスペイン入植地は東西南北を基準に都市の区画が決められています。ネコ師は、都市建設を行った(実質的)設計者の出身地の都市デザインに依っているのではないか、との仮説を立てています。これに関しても、一部、過去記事でご紹介しています。

posted by ネコ師 at 14:22| Comment(0) | ボリビア・スクレの歴史/人物 | 更新情報をチェックする

2010年11月22日

【秘訣公開】天ぷらをカリッと揚げる


 いつもうまくできない料理に天ぷらがあります。

 どうしても料理店のようにはいかない。カリッと揚がらない。

 料理店の天ぷらは時間が経ってもカリッとしています。以前から不思議でした。いろいろな料理の本を読んでも、書いてあることは同じ。ところが、その通りにやってもうまくできない。

 変だなぁ、と思っていました。ところが、今日、この長年の悩みがあっさり解決しました。料理店に負けない『カリカリ』の天ぷらを揚げることができました。

 その秘訣をご紹介します。

【従来から言われてきた方法】

1.冷水を使う。冷たい水ほど良い。
2.あまり混ぜない。菜箸でざっくり混ぜる程度(グルテンによる粘りけが増すため)
3.揚げの温度は材料によって違うが、160~170度。
4.衣の配合は、水と卵を合わせたものと同量の小麦粉
5.新しい油を使う

 どの本にもだいたいこのようなことが書かれています。

 私が以前から不思議だったのは、料理店ではこのようなやり方はしていない、ということ。

 マイアミに行った時のこと。目の前で、アメリカ人のバイトのお兄ちゃんが天ぷらを揚げていました。カリカリの天ぷらです。

 衣が足りなくなると、小麦粉の袋から目分量で「ドサッ」と小麦粉を入れ、「水道の水」を加え、ガシガシと混ぜ合わせました。これで衣の完成。

 上で書いた1.から5.のどの方法も採っていません。マイアミは暑く、調理場はさらに暑いところです。衣の温度も当然高いのですが、冷水など使いません。

 もうひとつ気づいたのは、「衣のゆるさ」です。かなり水を入れ、『ぐるぐるかき混ぜ』ていました。

 以前、テレビで料理番組を見た時も、粘りけのない水のような衣を使っていました。油の温度を見るために数滴、衣を油の中に垂らすと、衣が数十個の小さな揚げ玉になるほど「ゆるい」衣でした。レシピの配合では、あんなに緩くはならないのに! と不思議でした。

 最後に気づいたのが、油の温度。温度計がないので不正確ですが、料理の本の温度で揚げると焦げ付いてしまうということです。温度が高すぎるのではないかと思いました。

 マイアミのお兄ちゃんも、気長に揚げています。私が揚げる場合は、直ぐに焦げるので、これも変だと思っていました。


 スクレに来て、天ぷらを作ってみても、やはり同じようにパリッとした天ぷらにはなりません。そこで、料理の本は無視して、マイアミで見たままを再現してみたら、パリッとした天ぷらができました。

 そのコツを書きます。

【ネコ師の作り方】
 
1.水の温度は関係ない。どっちみち、調理している間に衣の温度は室温のためにどんどん上昇していく。
2.衣はできるだけ「ゆるく」作る。かなり水っぽい、と感じる程度。
3.衣はしっかり混ぜ合わせる。だまが完全になくなるまでしっかり混ぜる。
4.揚げ油の温度は、150℃~160℃。 かなり低い温度で長時間かけてじっくり揚げる(衣を油に垂らして、2秒後にやっと浮き上がる温度)。低い温度なので焦げずに長時間揚げることができ、具材の水分が抜け、カリッと仕上がる。
5.油が新しい、古はあまり関係しない → 新しい油でないとできないのなら、天ぷら屋さんは閉店しなければなりません(笑)。

 これが、天ぷら作りで「失敗しない作り方」です。
 料理の本に書いてあることと、正反対の方法です。

 次に、かき揚げをカリッと揚げる方法です。

 かき揚げをカリッと揚げるには、厚さを薄くする必要があります。衣は最小限の量にします。
 厚さの薄いかき揚げを作るには、フライ返しの上に掻き揚げの具材を薄く伸ばし、衣をできるだけ落とした状態で、静かに油の中に滑り落とします。油に入れたら20秒くらい触ってはだめ。

 かき揚げを揚げる温度は、菜ばしをぬらし、ふきんで拭き取った状態で油の中に入れた時、小さな泡がたくさん出る位まで加熱します(たぶん、170度くらいになっています)。あまり油の温度が高すぎると、ジュワーッと音がします。高すぎると直ぐに焦げるので、温度を下げます。衣が薄いので、170度で揚げた方がきれいに揚がります。

 昨日と今日、かき揚げをこの方法で作ってみて、うまくいきました。
 そこで、長年、なぜ、うまく揚げることができなかったのかを考えて見ました。

 まず、料理の本に書いてある方法が頭から抜けずに、そのレシピに従ってしまったことが挙げられます。次に、家族分の天ぷらを作るとなると大量に作ることになるので、早く揚げるために、どうしても油の温度が高めになっていたのだと思います。

 この油の温度についてもう少し書き加えます。

 料理店で出される天ぷらに、「海苔の天ぷら」があります。海苔の天ぷらを揚げるために油の温度を調整するわけではなく、他の具材と同じ温度で揚げます。160℃で揚げると、海苔が縮んでしまいます。この不思議も解決しました。結局、油の温度がかなり低かったと言うことです。ただし、低すぎるとしんなりとした天ぷらになりますが。

 長年の疑問が解決してうれしいです。これで料理店に負けない天ぷら料理が作れそうです。

 最後にもう一つ。料理の上手な人は、「油を汚しません」。何度か天ぷらを揚げた油でも色が透き通っていてきれいなままです。

 これは、いわゆる「揚げ玉」をこまめにすくい取って、焦がさないようにしているからです。通常、天ぷらのことばかり見ていますが、実は、揚げ玉を焦がさないですくい取るのが重要なポイントです。
 さらに、油の温度を200度以上には絶対にしないことも油を長く使う方法です。


posted by ネコ師 at 03:31| Comment(0) | 料理コーナー | 更新情報をチェックする

2010年11月20日

世界遺産スクレ市の白地図:順調に作成進行中

 世界遺産の古都スクレをご紹介するときに困っているのが、『良い市内地図』がないこと。

 場所を確認したり、位置関係を知るのには地図を見るのが一番ですが、スクレ市内のよい地図がありません。

 特に、テーマを絞った記事、たとえば、『教会』や『史跡』などをご紹介する場合、一般的な市内地図では不十分で、独自の白地図が必要になります。

 そこで、自分で作ることにしました。今回は、WORDで作っています。

 まだ、作成途中ですが、これが完成すると、教会の位置、博物館の位置など、目的に合わせた観光案内地図を作ることができます。

Mapa_Blanca_Sucre_Sample.gif


 スクレ市内にはたくさんの教会があります。そのひとつひとつをご紹介しようと思っても、やはり地図がないと、読んだ人にはよく分からないのではないかと思います。

 なんでも記載してある地図も良いのですが、目的に合わせたピンポイントの情報だけを記載した地図も見やすいのではないかと思います。


 いつものように、この地図の作り方の詳細な解説は保管庫に記載しています。自分で作っても、直ぐに忘れてしまうので、自分用のメモでもありますが。
posted by ネコ師 at 01:00| Comment(0) | スクレの市内地図(テーマ別) | 更新情報をチェックする

2010年11月19日

南米植物写真サイトの引っ越しが完了しました

 南米の植物を紹介するサイト「南米植物写真集 プランタス」をBloggerからSeesaaブログに引っ越しする作業をしていましたが、やっと完了しました。一部の記事がまだ旧サイトに残ったままですが。近いうちに全て引っ越したいと思います。更新が楽になったので、新しい記事もアップしました。

 Bloggerは、私にはとっても使いにくいので、Seesaaブログに変更し、サイトのデザインも全面的に変更し、ホームページ風にしました。

 トップページをできるだけ軽く・・・、などといいながら、トップバナーにこのブログと同じ設定で、ペルーのマチュピチュを背景としたフラッシュが、さらにサイドバーにももうひとつの軽いフラッシュが動いています。

 掲載している全ての植物へのリンクをサイドバーに作りました。とても見やすいすっきりとしたサイトになったのではないかと思います。

 南米の珍しい植物、花、果実などをご紹介していきたいと思います。

 薬用植物もたくさんあります。薬と毒は紙一重。その服用を誤ると大変な目に遭うことも。幻覚作用のある植物もあります。
 
 下の画像は「南米植物写真集 プランタス」にリンクしています。

「南米植物写真集 プランタス」


posted by ネコ師 at 01:51| Comment(0) | その他 | 更新情報をチェックする

2010年11月18日

グアムの海に潜ってスキューバライセンスを取得


 今日、写真を整理していたら、グアムに行った時の写真がでてきました。

 グアムに行ったのは数年前。海外出張が多かった職場だったため結構自由に休暇を採ることができたので、ゴールデンウィーク前に行きました。

 目的は特になく、ただ、家族旅行をしたいというだけ。

 グアムに着いてから、いろいろツアーを探していたら、スキューバダイビングの資格を採れるというものがありました。世界中の海で潜れる『PADI』の資格を採れるというものです。

 これは面白いと思い、子供達と一緒にダイビング教室に参加しました。

 ネコ師、写真に初登場です(笑)。

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グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


 高校生の子供達も無事、『PADI』の資格を採りました。

 実はこの時、「自分は海に潜ってはいけない人間なんだ!」と感じました。

 子供のころは、素潜りで5mくらい平気で潜っていました。ところが、スキューバは勝手が違います。常に潜水病のことを考えなくてはなりません。

 この「潜水病」。実は恐ろしい病気です。スキューバで使うボンベには空気が入っています。酸素ではありません。この高圧の空気を吸うと、空気中の窒素が血液中に溶け出します。

 そして、長時間潜水した後、急に浮上すると、気圧が下がるため、この窒素が血液中で泡になります。そして、死にます。

 この教室で、私は落第生でした。自由に空気を吸えない環境というのに馴染めないためだと思います。

 このため、潜水中も緊張し、空気を多く使いました。潜水途中で私のエアーが無くなり、インストラクターから分けてもらいました。

 子供達のエアー残量は、タンクのまだ半分もあるのに、私のエアーはゼロ。これは恐ろしいです。空気が無くなっても、急浮上はできません。潜水病になります。

 それに、緊張していると、体が沈みません。どうしても浮いてしまいます。ウエストに重りを付け、ウエットスーツにエアーを入れてバランスを調整するのですが、私の場合は、体に力が入りすぎているため、どうしても浮いてしまいます。

 こんな状態で水中でバランスを取ろうとすると、余計、力が入り、エアーを消費します。

グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


 普段、空気があるのは当たり前なため、呼吸について深く考えることはありません。

 ところが、ボリビアのアンデス地域では、この「空気」を常に意識してしまいます。

 平地のつもりで丘に登ると、呼吸困難に陥ります。これは本当に恐怖です。

 スクレに来て、最初に出くわしたのが、この恐怖でした。

 50メートル位の山(ちなみに、海抜は3,000m以上)に登った時のこと。

 平地と同じ感じで、スタスタと登って行き、頂上に着いた時、呼吸困難に陥りました。呼吸ができないのです。焦る気持ちとともに、グアムでの潜水を思い出しました。

グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング

 それは、潜水中に私がパニックに陥った時、インストラクターが手に持ったホワイトボード(こんなのがあります)に、「力が入っている。それでは誰でも苦しいよ」、と書いたシーンを思い出しました。まさに、フラッシュバック。

 そこで、気持ちを落ち着け、呼吸を整えました。

 心理的なものもかなり影響すると思います。普段は空気の存在を考えずに呼吸している人にとって、空気の存在を強く意識する瞬間だと思います。

 『海猿』という映画を見て、潜水の怖さを身に染みて感じました。自分の経験と映画のシーンが重なり合っている感じです。やはり、海は怖いです。

グアムでスキューバダイビング


グアムでスキューバダイビング


 ちなみに、ボリビアには海はありません。

 どこまでも果てしない海は、実は「閉鎖空間」です。
 特別な装備がないと、呼吸さえできません。

 先般、全員が救出されたチリの落盤事故のニュースを聞いた時、グアムの海を思い出しました。私は、閉鎖空間は苦手のようです。


posted by ネコ師 at 19:44| Comment(0) | 海外旅行を楽しむ | 更新情報をチェックする

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