先日、ついに恐竜の足跡を見に行ってきました。スクレの中心部からタクシーで15分くらいの近場。スクレの観光名所の一つになっています。世界遺産への登録を目指しているとか。スクレ自体が世界遺産に登録されていますので、同じ都市で2件目の世界遺産登録を目指すという何ともすごい話です。
この恐竜の足跡。侮ってはいけない! なんと世界最大規模の恐竜の足跡群だそうです。
足跡のある場所は、ボリビア最大のセメント工場、かつその原材料である石灰の採掘場のど真ん中。まずは、位置をGoogle Mapで確認してください。位置図は、クリックすると拡大表示できます。
少しアップした画像です。
足跡のある採掘跡地です。
工場の入口付近で、恐竜が出迎えてくれます。
ここは現在、スクレ市の公園として整備されており、正式名称は『市立ファンセサ白亜紀公園(Parque Cretácico Municipal Fancesa)』。
この「Fancesa」というのは、恐竜の足跡のあるセメント会社の名前です。これを「Francesa」だとばかり思い込んでいて、なぜフランスのセメント工場がスクレにあるんだと、ずっと思っていました(思い込みは怖いです)。
Fancesaという単語はたぶん固有名詞ではないかと思います。スペイン語スペルチェックでも認識されない単語です。web専門辞書でもヒットしません(汗)。それもそのはず、後で確認したら、Fábrica Nacional de Cemento S.A. の略称というまさに企業名そのものだそうです。スクレ市とサン・フランシスコ・ハビエル大学と他にもセメント工場を所有する企業体の三者で株式を所有しています。Wikipediaに「フランスのセメント工場・・・」との記述がありますが、でたらめです。思い込みは怖いものです。
Fancesaセメント工場。この敷地内の石灰岩採掘跡地に、恐竜の足跡があります。
公園が整備されたのは2年前。この整備の仕方に少し驚かされます。チョットした「テーマパーク」という感じです。スクレとしては ”すごいです!”
整備以前は、恐竜の足跡の所まで行けたのですが、整備後は、お立ち見台から見学するだけで、足跡を間近に見ることができなくなりました。
前置きはこのくらいにして、恐竜公園をご案内致しましょう。
恐竜の足跡の発見
この恐竜の足跡は、1994年、セメント会社の技術者が発見しました。石灰岩の質が悪くなったため、放置されていた採掘場の壁面でのことです。
1996年、ボリビアの専門家が確認し、1998年にスイスのクリスチアン・メイアー先史学者が、6800年前にこの地域に生息していた恐竜の足跡であることを再確認しています。
出典:Descubrimiento el Pasado, Sucre、など
恐竜公園への行き方
タクシーで行きましょう! スクレの中心部から恐竜公園までは5Km、タクシーで15分、料金は片道25ボリビアーノス(25Bs.、300円位)です。はるばるスクレまで来て、往復でも600円しかかからないタクシー代をケチってバスで行こうとする人の気持ちが私には分かりません。ちなみに、タクシー代は、市内は均一4Bs.。運転手に1時間待ってもらった場合の往復料金は、30Bs~50Bs.。(待ち時間によります)。重要な点は、スクレのタクシーの値段は1人当たりです。何人で乗っても、一人あたりの料金を取られます。恐竜公園までは、乗り合いでタクシーを利用するなら一人15Bs.でいいよ、というタクシー運転手もいました。市内は均一料金ですが、郊外だと値段にばらつきがあるようです。
スクレのタクシーでボラれることはまずありません。運転手がおつりを持っていないのが欠点ですが。ただし、空港のタクシーは、ボリます。さすがボリビアです。
カンクンからスクレに戻ったとき、市内まで35Bs.だと言われびっくり。「馬鹿言うんじゃないよ! 俺は観光客じゃなくスクレに住んでいるんだ」と言ってやりました。この時は、20Bs.でホテルまで戻りました。後で確認したら、通常の正規料金だと25Bs.と言うことでした(笑)。[Bs.→\ 換算は、Bs.に13をかけます]
入口
入口部分の全景です。
ジェラシック・パーク内
受付で4ドルの入場料を払って内部へ。
入口からすぐの所に待合所があり、人数がまとまるまでそこで待ちます。内部の案内は、英語かスペイン語のガイドが付きます。
恐竜の種類は、まったく分からないのですが、復元模型がたくさんあり結構楽しめます。コースの終わりに、恐竜の足跡を見ることができます。足跡のある壁までちょっと遠いのですが、望遠鏡も設置されているので、望遠鏡代を支払えば間近に見ることができます。
中型イグアノドンティアン:Mid-sized Iguanodontian
2億年前、後期白亜紀からジュラ紀中期の草食恐竜。体長は4m(手前の、今にも食べられそうな恐竜です)
フィクノネモサウルス:Pycnonemosaurusn
1億3千万年前、南半球に生息していた肉食恐竜。体長7m
Carnotaurus
1億3千万年前、南半球に生息していた肉食恐竜。体長7m
ノトセラトプス:Notoceratops
1億3千万年前、大部分が北半球に生息していた草食恐竜。体長5m
ティロサウルス:Tylosaurus
2億年前、世界中に生息していた恐竜。魚、は虫類をえさとしていた。体長7m
コールアウェイサウルス:Callawaysaurs
2億年前、世界中に生息していた恐竜。魚をえさとしていた。体長5m
ネス湖のネッシーを思わせる形をしていますが、顔が怖い。
この大きな恐竜の名前が分かりません。この恐竜は、とてつもなく巨大で、足の間が通路になっています。
それにしても、ほとんど鉛直の急傾斜の壁面に多数の恐竜の足跡があるのを見ていると、恐竜が闊歩していた当時を想像させてくれます。一緒に行った同僚が、「なぜ、足跡が垂直な壁に残っているのだろう」と、どこまで本気か分からないことを言っているので、「昔の恐竜は、壁を垂直に登っていたからこんな足跡が残ったんだよ。子ども恐竜たちが滑り台で遊んだ跡もあるし」と言ってあげました。
この恐竜のサイズがいかに大きいか、分かりますよね。この恐竜の模型を建設している写真がありますが、なんと鉄筋コンクリート製です。日本ならプラスチック製だと思いますが。
このジオラマのような、というか実物大ジオラマの写真が気に入っています。
若い子たちが恐竜の真似をしていたのでパチリ。スクレの女の子たちは皆、美形です。
有名なティラノサウルス・レックスです。こんなのが現代にいたら恐ろしいです。
石灰岩採掘場跡地の全景写真
これが恐竜の足跡の残っている石灰岩採掘場跡地の全景写真です。
恐竜の足跡が残っている採掘場の壁は、長さ1.5Km、高さ110m、傾斜角72度です。
ちょっと分かり難いですが、写真中央を上下方向に横断しているのが足跡です。このような足跡が幾重にも交差しています。思ったより小さいです。もっと巨大な足跡かと思ったのですが違いました。
ティラノサウルスなど肉食獣脚類やチタノサウルスなど草食恐竜の足跡が合計5,055個見つかっています。見つかっているのは、白亜紀(1億4000万年前から6500万年前)の終わりに大量絶滅した恐竜の足跡だけではなく、第三紀始新世(Salandian:5870万年前)の化石もあるようです。
恐竜が死滅し埋もれた当時の想像図のようです。この絵を見ると、恐竜の直接の死因は、地殻変動のように見えます。死滅した当時は地表面は水平なはずですが。なぜこのような絵なのか不明です。考証して描いているはずなので、やはり地殻変動で死滅したということでしょうか。恐竜は白亜紀の終わり、6500万年前に絶滅しています。ユカタン半島に落下した隕石が原因とする説もありますが。
大きな足跡は、壁面から剥がして、博物館のガラスケースに収まっています。
園内は、恐竜の鳴き声がスピーカーから聞こえ、臨場感があります。恐竜毎に鳴き声も変えていて、恐竜に近づくと、その恐竜の鳴き声を聴くことができます。
年表
1949年 FANCESA設立
1959年 マグネシウムの含有率が高いため採掘を中止
1985年 地質技師Heymannが、恐竜の足跡の存在を指摘し注意を促す。
1994年 地質技師Paredesが恐竜の足跡の化石であることを確認。
1994-1995年:地質学者、古生物学者のチームが調査、測量を実施
1995-1998年:SOCIUPAが採掘場およびその周辺で探査
1998年:古生物学者Meyer率いるチームが科学的調査を実施
2003年:Dr.Meyer及びGEOTEST社が、足跡保護のための予算を積算
2006年:世界遺産登録書類を作成
1959年に、たまたま良質の石灰岩の地層が尽きたために放置されたことが幸いして、足跡が保全されたことが分かります。
追記
この足跡が、崩れ落ちたというショッキングにニュースについても、この後の記事でご紹介しています。合わせてご覧ください。